ネットを見ていますと「アフィリエイトでお金を稼ごう」という趣旨のサイトをしょっちゅう見かけます。本屋さんに行っても、アフィリエイト関連の本がたくさん並んでいます。こうした状況を見ていると、一見するとアフィリエイトというのはいかにもお得なように思えます。しかし、私にはどうしてもそうは思えないのです。というわけで、今日はアフィリエイトについて書いていこうと思います。テーマはタイトルの通り、「アフィリエイトで一番得をするのは誰か?」という問題です。
単純な話なので、最初に結論を書いてしまいます。アフィリエイトで一番得をする人。それは、いうまでもなく「広告主」です。間違っても、アフィリエイター(アフィリエイトプログラムに参加してお金を稼いでいる人)ではありません。当たり前のことなのですが、よくわかっていない人もおられるようなので詳しく書いておきます。
広告主の立場からすると、アフィリエイトプログラムに参加してくれるアフィリエイターというのは非常に都合のいい存在です。なぜなら、アフィリエイターというのは、完全歩合給制の営業マンのようなものだからです。商品が売れなければアフィリエイターに対して一円も払う必要はありませんし、商品が売れたところで、アフィリエイターに支払う金額はわずかな料率で済みます。広告主にとってはきわめて有利な立場で販売促進ができるわけです(料率のいいアフィリエイトもありますが、それはつまり広告主の利益率もまたそれだけ大きいであろうことが推測されます)。
広告主にとっては、なんという素晴らしいシステムなんでしょうか! もし、私がネットでお店を持つとしたら、確実にアフィリエイトを利用するでしょう。いや、もちろん「広告主」の側としてですよ(爆) はっきりいって、このアフィリエイトプログラムを最初に考案した人は天才だとしかいいようがありません。
・・・逆にいうと、アフィリエイターにとっては非常に損なシステムということになります。はっきり言って、こんな不利なシステムで本格的にお金を稼ぐのはどう考えても無理があります。しかし、そうとは知らない無邪気なアフィリエイターたちは、せっせと自分のサイトにペタペタとバナー広告を貼り付けます。「アフィリエイトは不労所得」という言葉を信じて・・・。現実には不労所得を稼いでいるのは広告主の方だと思いますけどね。何しろ、広告主が自分で販促をしなくても、タダ同然の報酬で商品の宣伝をしてくれる気のいい「営業マン」が大勢いるのですから・・・。
さて、こういうことを書くと、必ず反論が来るはず。「いや、そんなことはない。実際に月に何十万円も稼いでいるアフィリエイターがいるではないか」と。
確かにおっしゃるとおりです。しかし、それだけ大金を稼げるアフィリエイターって果たしてどれほどおられるのでしょうね?おそらく、全体のごくわずかしかいないものと思われますが? いや、それなら百歩譲って、アフィリエイトで月に何十万円も稼げる身になったとします。それでもなお、アフィリエイトは不利な立場だと考えます。なぜか?
答えは簡単です。アフィリエイトでいくら自分で商品を売ったつもりであっても、実際に商品を売っているのは、広告リンクの先にある広告主のほうです。よって、アフィリエイターには、「商売人にとっての最大の資産である顧客情報」が手に入らないのです。
もちろん、個人情報の管理に厳しさが問われる昨今、顧客情報の扱いは慎重でなくてはなりません。しかし、仮にも商売をしようという人間にとって、顧客情報というものがどれほど重要な資産であるかは言うまでもありません。顧客情報がないということは、顧客に対して直接の販売促進が一切できないのです。これはビジネスとしては致命的な欠点です。
さて、少し視点を変えてみます。月に何十万円も稼げるような「スーパーアフィリエイター」の場合、けっこうおいしい稼ぎ方が可能です。どうするかというと、「アフィリエイトで月に○○万円を稼ぐノウハウ」を、いわゆる情報商材としてまとめ上げ、PDF形式のマニュアルとして販売するのです。ついでに、今度は自らが「広告主」となって、その商材を他のアフィリエイターにアフィリエイトで宣伝してもらう、というのがいいでしょう。情報商材は在庫も不要ですし、商材も自分で作ることが可能ですから原価はあってないようなもの。利益率の高い非常にいい商売です。 ちなみに、誰がそんな情報商材を買うのかということを考えてみると、言うまでもなく「スーパーアフィリエイターになりたい貧乏アフィリエイターたち自身」でしょうけどね・・・(-_-;) 結局のところ、「稼げない大多数の貧乏アフィリエイターたち」が「ごく少数の金持ちスーパーアフィリエイター」にせっせとお金を貢いでいるという構図です。こうして、スーパーアフィリエイターはさらに稼ぐことが可能です。ネットの世界では強いものはより強くなるという一つの例でしょうか・・・。
・・・うーむ。ずいぶんアフィリエイトをこき下ろしてしまいましたが、私は別にアフィリエイトプログラムというシステムを馬鹿にするつもりはありません。少なくとも、「小遣い稼ぎ」を目的とする分には確かに素晴らしいシステムです。私自身も、アフィリエイトは活用していくつもりでいます。
今日の記事で私が言いたかったのは、
*アフィリエイターというのは、小遣い稼ぎならともかくとして、本格的なビジネスには向かない *投資において「売り手側の論理」に注意しなければいけないのと同様、「アフィリエイトプログラムを提供する側の論理」を知っておくべきである
ということなのです。アフィリエイトの有利な点を書いてある記事はいくらでもありますが、不利な点をちゃんと書いてある記事はほとんどみかけないことが気になったのでこういう記事をあえて書いたわけです。そもそも、アフィリエイトで大きな収入を得るほどの集客力があるのなら、その力をつかって自分自身でネットビジネスを興す方がよほど有意義だと思われます。非常に不利な立場であるアフィリエイトでそれほど稼げるのなら、リアルビジネスであれば、もっともっと稼げるようになる可能性が高いのではないかと思うからです。
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