「自分の好きなことを仕事にしてお金を稼ぐ」という考え方があります。今日はこのことについて私の思うところを書いてみます。基本的にその考え方自体は決して悪いことではないと思います。しかしながら、投資家的視点で考えると、そこには大きな落とし穴もあるような気がします。いくつか挙げてみましょう。
一つは、好きな分野・得意な分野であるがゆえの自信過剰。「こんなにいい商品(サービス)だから必ず売れるはず」という根拠のない思い込みなどがそれに該当します。
二つ目として、より重要なことを挙げておかねばなりません。何かというと、
「それってそもそも儲かるのか?」
ということ。いくら好きな分野・得意な分野であろうとも、ビジネスである以上はちゃんと利益を上げる必要があります。「そんなことは当たり前だ」と思われるかもしれませんが、なまじ自分の好きな分野の事業内容であるだけに「ビジネスとしての冷徹な判断」がちゃんとできなくなる恐れがあるのではないでしょうか?
さて、ここで私の本音を書いておきます。「自分の好きなことを仕事にしよう」という文章を読むたびに「ずいぶん無責任なことを言うなあ」と思ってしまうのです。なぜならば、仮にもお金儲けを考えるのならば、好きかどうか以前に「利益が出るのかどうか」を検討する方が先ではないか、と思うからです。
翻って、私自身のお金儲けの手段である投資について考えてみます。投資もまた、副業の一つだからです。私はインデックスファンドをメインとする投資をしていますが、別にインデックスファンドが好きというわけではありません。そもそも、別に投資が好きというわけでもありません。むしろ非常に退屈で仕方がありません。それでも私がそうしたお金儲けの方法を選択したのは、ただ一つの理由によります。「それが一番無駄がなくて儲かりそうだから」ということだけです。むしろ、投資を好きになってはいけない、とまで考えています。その理由も単純で最初の方で書いたように「熱中してしまうと、冷静で客観的な判断ができなくなる恐れがあるから」です。
「まず利益ありき。」これがお金儲けの基本だと思うわけです。
いくら自分の好きな分野・好きな仕事であっても、十分な利益を出すことができるかどうかは別問題ではないでしょうか?確かに、趣味などの好きなことが高じて、プロ並み(あるいは下手なプロ以上)の知識と技能を有していたり、あるいは顧客としての目からみて既存の製品・サービスに不満な点を分析した上で、より優れた製品やサービスを開発・提供して成功した事例はいくつもあります。しかし、それが成功する前提として、自分の持っている才能・能力・意欲が相当高いレベルにあり、なおかつその事業が時流に乗っている必要があるでしょう。
儲かるかどうかはやろうとしている仕事・事業内容からある程度は推測できるでしょう。いくら好きな分野・好きな仕事であっても、世の中には「どうやっても利益の出にくい仕事」というものもあると思います。そんなものにわざわざ手を出すべきではないと考えます。
本業の傍らの副業としてなら、趣味と実益を兼ねる形でいいのかもしれません。しかし、単なる副業から本業にしようとすると難しい部分もたくさん出てくる可能性がありますね。単純な話、「副業で月に20万円稼ぐ」というのは確かにすごいことですが、これが例えば「起業して月に20万円稼ぐ」となると全然すごくありません。どういうことかというと、本業からの収入とは別で月に20万円の副収入は魅力的ですが、起業してフルタイムで働いて月に20万円しか稼げないのでは、リスクに全く見合わないからです。
私が思うに、「好きなことを仕事にする」というのは、あくまでも数ある可能性の一つに過ぎないと考えるべきではないでしょうか?最初は嫌いな仕事でもやっているうちに好きになることもありえます。好きなことにこだわりすぎると、かえって自分の可能性を狭めてしまうことにもつながりかねません。第一、自分ではすごい能力だと思っていても、プロの目から見ればそれほどではない可能性も十分にあります。才能と興味が一致しているとは限りませんし。
私としては、好きなことをして金持ちになるよりも、金持ちになってから好きなことをした方がいいような気がします。大きな財政基盤があれば、何をしてもリスクは小さくてすみますから。
今日もまた非常にネガティブなことを書きました。しかし、投資家という視点で考えると、何よりもまず、リスクにこそ注意すべきではないかと考えます。以前から何度も書いてきたことの繰り返しになってしまうのですが、成功ノウハウやサクセスストーリーにばかり耳を傾けることではなく、むしろ失敗談に耳を傾け、誰もがはまりやすい「罠」をいかに回避するか、リスクをヘッジするか、ということがより重要だと思うわけです。
テーマ:お金の勉強 - ジャンル:株式・投資・マネー
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