投資系ブログを読んでいますと、よく銀行や証券会社が批判の対象になっています。特に大手銀行・証券会社の窓口販売のファンドに対しては、「手数料ぼったくり」「投資家に不利な商品を売っている」などという具合にボロクソに書かれていることも珍しくありません。実際のところ、私自身も、このブログの中で批判的な記事を書いてきました。 しかし、金融機関に対して批判的に書かれた記事の内容に対して賛同する一方、私にはまた別の思いがあるのも事実ではあります。
果たして、金融機関だけがそんなに悪いのか?と・・・。
以前に書いた記事、銀行や証券会社は、「客が欲しがるもの」を提供しているという事実の中で、私はこう書きました。
(※一部抜粋です) -------------引用開始-------------------------------
銀行や証券会社といった金融商品の売り手側の方は、少なくとも、「顧客が欲しがる商品」を提供している
(中略)
私には、どうしてこうも「顧客にとってはあまり有利とはいえない(はっきり書いてしまうならば、明らかに不利な)金融商品」ばかりを売りたがるのかがどうしてもわからなかったのですが、これでようやくその理由の一つがわかったというわけです。顧客がこうした商品を欲しがるというのであれば、それを供給してやればいいわけですから・・・。
結局のところ、世の中に問題のある金融商品が次から次に生まれてくるのは、それを購入する顧客自身にある、ということになりそうです。
最近人気のリスク限定型投資信託にしても、それを望んで買う顧客から見れば、さしずめ「リスクを抑えられるこんな商品を待っていたのだ」ということなのでしょう。そうであるならば、そうした商品を開発・販売する側から見れば、「我々は顧客のニーズに合った商品を開発・販売しているのだ」ということになります。
-------------引用終了-------------------------------
私がこの記事で書いたことは、「そもそも、投資家に不利な商品が次から次へと登場する最大の背景は、そうした商品を自らすすんで購入する顧客自身にこそある」ということでした。 そうした視点で見るならば、本当に悪いのは金融商品の売り手側である銀行や証券会社ではなく、顧客自身なのではないか?という気がしてくるのです。すなわち、責められるべきは銀行や証券会社ではなく、むしろ顧客自身ではないだろうか?との思いがどうしても消えないのです。
そもそも、商品というものは何でもそうですが、売り手側だけでは決して成り立ちません。買い手があってこそ成り立つものです。そうであるならば、売り手側のみを責めるのはどう考えてもフェアではないという気がします。 一般的に言って、商売というものは、商品を売っている販売者側よりも顧客の方がはるかに立場は強いのではないかと思います。買ってくれるお客さんがいないと商売は成り立たないわけですから・・・。
私の感覚で言うと、「投資家に不利な商品を売る金融機関にも確かに問題はある。しかし、顧客は決して騙されているわけではなく、自らそれを欲しがっているのも事実。結局のところ、どっちもどっちではないか?」という感じです。
「悪貨は良貨を駆逐する」という言葉がありますが、投資信託に関する限り、まさにこの表現がピッタリだと思います。そして良貨を駆逐しているのは、まさに顧客自身なのでしょう・・・。
------------------------------------
ここで話題を少し変えます。ずいぶん前の話になってしまって恐縮ですが、週刊ダイヤモンドの過去の特集で「投信の罠」というのがありました。投資信託の問題点について指摘した特集で、これについてブログを書かれた方も大勢おられました。こうした特集を組んだダイヤモンド社はある意味ですごいと思います。しかしながら、私には別の考えが頭の中をよぎっていました。
「投資に関して無知な人が、この特集記事を読むことはないだろう」と・・・。
どういうことかというと、こうした記事に目がいく人というのは、元々ある程度の問題意識を持っている人だと思うからです。例えば、ダイエットなど必要のないスマートで健康的な人ほどダイエット情報に敏感で、本当にダイエットをしなければならない肥満で不健康な人ほどダイエットに関心がない、ということは決して珍しくないと思うのですが(この例えは私の身の回りの人たちの話ですので念のため・・・)、それと同様に、投資に関して無知な人というのは、そもそも投資のために勉強が必要だと言うことも知らず、よって、ネットで調べることもせず、本屋さんに行って投資関連の本や雑誌を買うという発想もないのが現実だと思うからです。
世の中に優れた投資系ブログは数多くありますが、おそらく無知な投資家の大半は、そんなブログがあることすら知らないでしょうし、仮に知っていたとしても読もうともしないでしょう。
結果として、優れた投資ブログに集まってくるのは優れた投資家だけであって、そうした優れた投資家は互いに知識を提供することでさらにレベルアップすることになります。 それに対して、無知な投資家は自らの無知ゆえにおかしな金融商品を大喜びで買っていくことになり、結果、投資家としての格差はどんどん拡大していくことになるでしょう。そして金融機関は、「主要顧客である無知な投資家」をターゲットにした「顧客にとっては不利ではあるが、表面的にはわかりやすい商品」を開発・販売するという具合・・・。
正直、今の日本の投資家のレベルを考えると、「本当に投資家サイドに立った優れた投資商品」を作ってもなかなか売れないだろうという気がします。金融資産の大半を保有しているのは高齢者の方々だと思うのですが、高齢者の方々は、これから資産形成をしようという若年層とはニーズが全く違います。 そして、金融機関の側としても、資産形成を目指す若年層向けの商品を開発・販売するよりも、すでに多くの金融資産を保有する高齢者向けの毎月分配型ファンドを好んで販売し、ネット取引のできない高齢者向けに窓口販売に力を入れる方が理にかなっています。十分な金融資産を持っていない若年層を相手にしても、たいした利益にはならないからです。一等地に店を構えての店舗販売は当然のことながらそれなりのコストがかかるので手数料も高くなるのも仕方がありません。
金融機関の側にすれば、主要顧客である高齢者層をがっちりつかんでいる以上、本やネットでいくら批判をされようが、痛くもかゆくもないでしょう。主要顧客の大半は、そんな批判が存在すること自体、全く知らないのですから何の問題もありません。
いろいろと書いてきましたが、結局のところ、不利な商品を売る金融機関、そして不利な商品を買う顧客の双方に問題点があるのではないかな?と思った次第です。この問題は、単なる金融機関批判では決して解決することはなく、そして同時に顧客を批判するだけでも解決することはないだろうと思うのです。
------------------------------------
追伸:今日書いた記事も、例によって私の独断と偏見による部分が大半を占めています。ただ、私の身の回りにいる「無知な投資家」をもとにして書いているということだけは明記しておきます。
テーマ:お金の勉強 - ジャンル:株式・投資・マネー
|