前に書いた記事、「過剰な節約」という名の病のコメント欄において、万が一のために、投資しないで現金・預貯金の形で置いておく”生活防衛資金”についていくつかの意見が寄せられています。
「全資産の99%以上を株に投資している」(ノスケさん)という方もいれば、「一般に投資をする際には(というか,投資をしなくても人生を生きていくのなら)職を失うなどの万が一の時のためにある程度の現金(預金)を保持しておく」(ガウスさん)という意見もあります。今日はそれについての話題です。
私自身も、生活防衛資金に関しては、手取り年収の2年半分程度を確保しているわけで(その時々により、若干の変動はありますが・・・)、かなりの金額を預貯金などの形で保有しています(定期預金を含む)。 とはいうものの、私自身も、それほど多額の金額を生活防衛資金にする必要はないのでは?と考えてもいます。
そもそも、「投資をするならまず生活防衛資金として生活費の2年分を確保せよ」(これは木村剛氏著の「投資戦略の発想法」の主張です)という言葉の裏にあるのは、「ある程度の金額のまとまったお金を持っていない人が投資などを考えるべきではない」ということだと思います。 逆に言うなら、まとまった金額のお金を持っている人なら、生活防衛資金に関して、さほど厳密に考える必要はない、という考え方もできます。
例えば、1千万円を大きく超えるだけのお金を保有していて、借金ゼロというケースの場合、本当に生活防衛資金は必要なのだろうか?という疑問を感じることがあるのです。
ことさらリスクの高い投資をしている場合、万が一大暴落したときの経済的ダメージが大きいので、確かに生活防衛資金は必要だと思います。しかし、インデックスファンドで国際分散投資をしている場合、果たしてどうなのか?ということです。
考えられる「万が一のケース」というのは数多くあります。世界同時株安などの大暴落・失業・病気・急な大きな出費・・・。 しかし、この場合でも、前回の記事の中でノスケさんが書いておられるように、「そもそも職を失ったり重い病気にかかったりするような「万が一」のことが起こった場合、当初予定していた投資計画はその時点で狂ってしまいますので、そのときには潔く株を売却すればいい」(ノスケさんのコメントより引用)という考え方は正しいように思えます。この場合・・・
*有価証券を売却して現金化するまでのタイムラグの問題
*場合によっては金融商品が元本割れの状態になっている時に売却しなくてはならない
・・・といったことが問題になりますが、それさえ許容できるというのなら、確かに生活防衛資金をことさら用意する必要はないのかもしれません。
そんなわけで、いくつかの条件を満たせば、生活防衛資金は必ずしも必要ではない(あるいは少額でもよい)という意見は正しいのかもしれません。そのいくつかの条件について思うところをまとめてみると・・・
*家計の収支のバランスが安定しており、大きな経済的危機に直面する可能性が低い(当然、無借金であることが大前提) *比較的リスクの低い(価格変動率の低い)、無難な投資手法をとっている *流動性の高い、いつでも市場で売却できる投資商品でポートフォリオが構成されている *売却指示から、現金化までのタイムラグを許容できる *万一の売却時には、元本割れになっている可能性もあるが、それを容認できるだけのリスク許容度を持っている *投資において考えられる「最悪の事態」(大暴落など)をきちんと想定しており、それが現実のものになったときにも慌てず冷静に対処できる自信がある
・・・といったところでしょうか。
とはいうものの、これはあくまでも投資上級者が、自分のやっていることをきちんと理解した上で行うときの話であって、投資初心者がこうしたマネをするのはやめておくべきでしょう。
私の場合は、残念ながら、そこまでの割り切りができない(それほどの大きなリスクをとても許容することができない)ので、生活防衛資金は今まで通りのままでたっぷりと確保しておこうと思っています。生活防衛資金を十分に確保しておくことの狙いの一つは、暴落時にもさほど動揺せずに済むという、精神安定剤的な部分にもあるからです。
いずれにしても、生活防衛資金を用意しない、あるいはごく少額にとどめるというのは”極めて高度な投資判断”が必要だと思います。相当な投資経験を積んで初めてできる決断だと思いますので、繰り返しになりますが初心者はマネしない方が無難です。
・・・というか、ほとんどの人にとっては、これは到底おすすめできるものではありません。生活防衛資金はやはり余裕をもって確保しておくのがよいと思います。
最後に一言。投資判断は自己責任でお願いします m(_ _)m
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