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1972年生まれの某中小企業勤務の独身男性サラリーマン。貧乏人からお金持ちを目指して奮闘中。貯金は手堅く、投資はリスクを小さく、というのがモットー。
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ワーキングプアは決して他人事ではない(3)
シリーズ記事の続編です。過去の記事はこちら。

ワーキングプアは決して他人事ではない

ワーキングプアは決して他人事ではない(2)



さて、今回は第3回目です。

まずは、非正規雇用問題・ワーキングプア問題のルーツはどこにあるのかを探ってみたいと思います。私が調べた範囲内では、そのルーツの一つは、1995年にまでさかのぼることができそうです(「ルーツの一つ」と書いたのは、この問題のルーツと思える要因は他にもたくさんありそうだからです)。

1995年に何があったのか、という話ですが、この年に、当時の日経連(現日本経団連)が「新時代の日本的経営」という報告書を出しています。恐らく、かなり有名な報告書だとは思いますが、とりあえずは参考URLを示しておきます(残念ながら、オリジナルのデータは見つかりませんでした)。

日経連「新時代の『日本的経営』-挑戦すべき方向とその具体策」1995年5月



この「新時代の日本的経営」ということに関して、島本慈子著「ルポ 解雇」という本の中から引用したいと思います。


-------------引用開始-------------------------------
 あまりにも有名だが、いま一度、日経連(現日本経団連)が九五年に発表した研究プロジェクト報告「新時代の日本的経営」を振り返っておこう。このなかで日経連は、これからは従業員を「三層分け」していくと宣言した。
 一番上に置くのが「長期蓄積能力活用型」グループ。この人たちは管理職、総合職、技能部門の基幹職といった仕事につく。
 その下に置くのが「高度専門能力活用型」グループ。この人たちは企画・営業・研究開発といった専門職につく。
 一番下に置くのが「雇用柔軟型」グループ。この人たちは一般職・技能部門・販売部門などに従事する。
 そして、「期間の定めのない雇用契約」(いわゆる正社員)が適用されるのは、トップに位置する長期蓄積能力活用型グループだけ。第二・第三のグループは「有期雇用」にするというのが、日経連が九五年に示した未来図だった。
-------------引用終了-------------------------------


さて、上に上げたリンク先および引用文によると、「期間の定めのない雇用契約」になるのは、「管理職・総合職・技能部門の基幹職」となっています。これに該当しない人たちはすべて有期雇用にしようというのが1995年に当時の日経連(現日本経団連)が示した青写真のようです。最上位である「長期蓄積能力活用型グループ」以外は、退職金も昇給もないようです。
要するに、管理職・総合職・技能部門の基幹職以外は正社員にせず、有期雇用の非正規雇用にするということのようです。
この結果、どういうことが起こりうるか?上記の「ルポ 解雇」の本の中から要約・引用します(※箇条書きにするため、原文を編集しています)。


-------------(一部編集・要約・引用)-------------------------------
*契約更新が最大の問題となる。更新するかどうかはひとえに経営の裁量となるため、更新してもらえるかという不安の中で、働く人は権利主張がしにくくなる。

*契約更新時に労働条件を下げられる可能性がある。賃下げをのまなければ更新はしない、ということが起こりうる。

*使い捨てのパート従業員とは異なるカテゴリーの労働者、すなわち従来なら正社員として雇用した人たちを、今後は有期雇用にしていくことになる。そして一定の期間はきちんと拘束して、必要なくなれば更新拒否。つまり、必要なときは囲い込み、要らなくなったら簡単に排除という、使用者(経営サイド)にとっては大変都合のいい制度になる。
-------------終了-------------------------------



私は、前回の記事およびコメント欄において、「正社員というものは労働者の中の特権階級なのかもしれない」「正社員不要論も出てくるのではないか」という意味のことを書きましたが、どうやらこれは私の妄想だけではないようです。今現在、いわゆる派遣切り・雇い止めといったことが起きていますが、むしろこれはまだ序盤にすぎないと考えざるべきなのかもしれません。

「新時代の日本的経営」が発表されたのは、1995年の話です。ということは、今から約14年も前から労働者の非正規雇用化拡大に向けての動きは始まっていたと言えそうです。そして、労働者の非正規雇用化というのは、今後ますます活発化していくだろうと思われます。

「新時代の日本的経営」の内容から考えるに、正社員として期間の定めのない雇用契約になりうるのは、幹部候補となりうるようなごく一部のエリート労働者(企業の中のコアとなる従業員)のみということなのでしょう。それ以外の労働者たち、つまりほとんどの労働者たちは、みんなまとめて有期雇用の非正規雇用に追い込まれる可能性が高いものと思われます。
これは当然のことであって、使用者(経営者)側からみれば、労働者というものはできるだけ簡単にクビにできるようにしておくことが望ましいはずです。特に、経営陣に余計な意見をしたり、労働条件に文句を言うような”もの言う労働者”に対しては、「契約更新をしないという合法的なクビ切り」ができるようにしておく方がなおさらベストということになります。こうしておけば、仮に労働者を実質的に解雇したとしても、契約期間を守っている限りにおいては「これは不当解雇ではない。契約期間が満了しただけのことだ」と主張できます。これは経営者サイドから見れば素晴らしいシステムです。

極めて優秀な非正規雇用労働者が少なからずいるという現実を考えると、正社員のほとんどは非正規雇用での置き換えが可能であると思われます。そもそも、正規雇用と非正規雇用との区分は、法律上の扱いの違いでしかないのですから。
実際問題として、「自分は会社にとって必要不可欠なコアとなる人材だ」と自他共に認めるような優れた従業員が果たしてどれほどいるというのでしょうか?恐らくほとんどいないはずです(自分ではそう思っていても、大抵は当人の自信過剰であるケースがほとんどでしょう。雇われ従業員というものは、しょせんは”交換可能な部品のようなもの”といっても過言ではないと思います)。

また、正社員という安定した立場も、そう長くは続かない可能性もあります。正社員の解雇を容易にできるようにすべきだ、という意見も少なからずあると思われるからです。参考サイトを示しておきます。

正社員のクビを切りやすくする改革は受け入れられるか|辻広雅文 プリズム+one|ダイヤモンド・オンライン

こうした意見が多数派を占めるようになれば、やがて法律が改正され、労働者の解雇がより容易にできる社会が到来するかもしれません。
もちろん、これに反対する意見もあります。

世界の片隅でニュースを読む:「非正社員が正社員になりたかったら、正社員の解雇自由化に賛成しろ」という悪魔の囁き


そんなわけで、今後、さらに多くの労働者が非正規雇用の契約形態(あるいは、たとえ正社員であってもより不安定な雇用形態)に追い込まれる可能性があり得ます。そして、そのうちのかなりの人数が”自己責任の名の下に”ワーキングプアと呼ばれる働く貧困層へと堕ちていくことになるかもしれません。

ここにおいて、当シリーズ記事のタイトルである「ワーキングプアは決して他人事ではない」ということに辿り着くというわけです。


長くなってきたので、そろそろ今回の記事のまとめに移りたいと思います。
今書いているこのシリーズ記事の主題の一つは以下の通りです。


--------------------------------------------

今後、雇用問題がどういう方向に進むかはわからない。しかし、1995年に示された「新時代の日本的経営」の青写真通りに事態が進むと仮定すると、労働者(雇われ従業員)という立場にある限り、たとえ今は正社員という安定した立場であっても、ごく近い将来、非正規雇用へと追いやられる日が来る可能性が高いと思われる。あるいは正社員であってもいわゆる”名ばかり正社員”になるかもしれないし、また、たとえ正社員といえども容易に解雇できる社会が到来するかもしれない。そしてその中の何割かの人たちは、貧困に喘ぐことになることは想像に難くない。よって、そうした時代が到来することを前提とした人生設計をすべきであり、ワーキングプアに陥るリスクを想定リスクの中に組み入れるべきである。

--------------------------------------------


私自身は、貧困への恐怖こそが貯金や投資へと向かわせる原動力となってきましたので、こうしたテーマは当ブログにもっともふさわしいと思っています。実際のところ、フルタイムで働いていて、なお貧困に陥るということについては、かつては全くの想定外でした。しかしながら、ワーキングプアと呼ばれる人々が実際に存在する以上、今後はそうしたリスクに対してどう備えるべきか、ということを考えなければならないと感じています。また、失業、あるいは病気などで長期に渡って働けなくなったらどうするか?ということも重要です。

私は、この貧困問題の根本的な解決はほぼ不可能に近いと考えています。この問題は様々な要因が複雑に絡み合って起きているように思えるからです。経済のグローバル化とか、不況とかいうことだけではなく、他にも数多くの要因があるように見えます。よって、今後さらに状況が悪化することはあっても、改善するというのは考えにくいというのが私の考え方です。

このシリーズ記事(および関連記事)は今後も続ける予定ですが、この「貧困に陥るリスク」「生活がより不安定になるリスク」に対してどう立ち向かうべきか、どんな風に対応するか、というのが記事のテーマの一つということになりそうです。最悪の事態を想定しておくことが重要だと考える私にとっては非常にふさわしい題材です。

その問題の巨大さ・複雑さゆえに、書くべきことは他にもたくさんあります。もちろん、投資家という視点で見たときに、非正規雇用問題・ワーキングプア問題をどう考えるかという視点も非常に重要です。

そんなわけで、先ほども書いたように、このシリーズ記事は今後も続ける予定です。依然として、考えをまとめるのが大変なので、まだ先の話になるかと思いますが・・・。



テーマ:お金の勉強 - ジャンル:株式・投資・マネー

この記事に対するコメント

>今後、さらに多くの労働者が非正規雇用の契約形態(あるいは、たとえ正社員であってもより不安定な雇用形態)に追い込まれる可能性があり得ます。


もうすでになってきている(裏では着々と進んでいる)でしょうね^^;;
森〇卓郎さんはすでに予言してましたね(元ネタが削除されてしまったので私のですが・・)
http://blogs.yahoo.co.jp/rakuaaaa/34330111.html
>いま年収100万円台という人たちが急増しています。厚生労働省の調査によると、1999年では28%だったアルバイトやパートといった非正社員の割合が、2003年には35%にまで増加したのです。彼らの大半は年収100万円台。



年収が低い方(たぶん・・私もですが^^;)は、あまり投資を積極的にやらない方がいいと思います。。有名ブロガーは平均年収よりかなり上のようなので!(数千万が早いスピードで貯まる)

バブル崩壊後からシコシコ貯めたので(貯蓄の複利)私も少しはイキガッテますが^^
【2009/01/21 22:11】 URL | 預金王 #- [ 編集]


非常によくまとまっていて感動してしまいました。相当勉強されてないと書けないなって(^^♪
人生設計を考える上で一番大切なことは、仕事ですが、問題が複雑すぎてなかなか書けないでいます。

これだけ世間が騒いで、感情的な意見が減ってきているので、幅広い意見が出されててきていますね。何が悪いとかも大切ですが、「どう対処していくかってこと」が現実的ですね(^^♪
自分のことも、妻の事も、そして娘達のことも、どう向き合ってどう教えていくのか、勉強の毎日です。。。

【2009/01/22 21:14】 URL | うさみみ #- [ 編集]

管理人より臨時コメント
管理人より臨時コメントです。
理由がよくわかりませんが、コメントが一つ消えてしまったようです。
私の操作ミスではないとは思うのですが・・・?

【2009/01/22 22:26】 URL | masa #.7tOqmoU [ 編集]


大変難しい問題です。
経営側は、生き残りをかけたグローバルな競争にさらされていることを肌で感じているでしょう。その変化が急すぎるため、従業員(正規・非正規を含めた)には、なぜこんなことが起こるのかは理解しにくい(外部変化を感じにくい)。
しかし鎖国の時代には戻れない。(人口が多すぎる、豊かな生活を手放せない)
生きていくことに疲れる時代です。ベーシックインカムの考え方になんとなく共感を感じるのは、競争に疲れてきたからかなぁ。
【2009/01/23 10:08】 URL | まるまるまるた #- [ 編集]


こんにちは。
サイト参考にさせていただいています。私はもっぱらオフショア投資ですが、暇なときにでも遊びに来てください。では。
【2009/01/26 02:50】 URL | investdehappy #- [ 編集]

管理人より記事の補足:「もし法律が改正されたら・・・」
今日は、記事の補足を少し書いておきます。読者へのコメントは後日とします。

記事において、「正社員のほとんどは非正規雇用での置き換えが可能であると思われる」と書きましたが、もし仮に、新たな規制緩和によって法律が改正され、正社員の解雇が容易にできるようになった場合、人の置き換えうんぬん以前に、恐らくほとんどの人は正社員という地位を維持できなくなるだろうと私は考えています。



つまり、ほぼ全ての正社員を一旦解雇し、有期雇用の非正社員としてあらためて雇用契約を結ぶ、といったことが日本全国で行われるのではないか、ということです。


このとき正社員として残ることができるのは、経営陣を直接的に補佐するような立場のごく一部の上級職にある従業員だけではないかと思います。コストの高い正社員を抱えることはすなわちリスク要因ということになるため、こうした可能性は十分にあり得ると思います(これは本文に書いたとおりです)。


それに、この方法であれば、今までと同じ仕事を、同じ従業員を使って、極めて低コストでできるようになります。


「努力して能力アップすることで、正社員として残る道を考えるべきだ」という人も多いと思いますが、もはや”正社員という名の既得権益を持った立場にしがみつく時代”はもう終わりを告げようとしているのかもしれません。
第一、並大抵なスキルアップ努力では、せいぜい第2グループの「高度専門能力活用型グループ」にとどまるのが精一杯(もしも、同一分野で自分よりも優秀な人がいた場合、第2グループにとどまることすら困難かもしれません)で、よほど才覚がある人でない限りは最上位のグループには到底手が届かないと思います(こうした状況では、正社員の地位は事実上の椅子取りゲームとなることでしょう)。
もしも、本当にこうした事態が現実のものになるとすれば、これから考えるべきことは、正社員としてではなく、非正規雇用としていかに生き残っていくか、ということなのかもしれないということです。

財界人・経営者はこう言うかもしれません。

「正社員という既得権益にしがみつこうとするのは見苦しいからやめろ!安定雇用の時代はもう終わったんだ!純粋に自分の実力で生き残っていけ!!」と・・・。

私が興味深いのは、本当に実力があって正社員というポジションにいる人というのは果たしてどのくらいいるのだろう?ということです。

恐らく、多くの正社員たちは、純粋な実力によってではなく、ただ単に既得権益によって正社員という地位を守っているのではないかと私は考えているのです(当然のことながら、この中には私自身も入っています。私の正社員という安定した立場も、しょせんは既得権益によるものでしかないということは疑いようがないからです)。

【2009/01/26 20:41】 URL | masa #.7tOqmoU [ 編集]


おおお・・・
すばらしいコメントです^^

お金が入らなくなってこそ、フェアな投資生活が送れるのかもしれませんね!

自分と自分の家族を何が何でも守る・・
ソコソコの所得でフローできる。。

>安定雇用の時代

今までが良過ぎたんでしょうね。
【2009/01/26 21:32】 URL | 預金王 #- [ 編集]


>管理人より記事の補足

>正社員を一旦解雇し、有期雇用の非正社員としてあらためて雇用契約を結ぶ

・・・ことの、最大のメリットは、慣習である年功序列を途中でリセットできることだと感じます。
会社に対する貢献度といっても、なかなか査定には表現しにくいのではないでしょうか?
給与の高い中高年を、若手と入れ替えたいと思う経営者は多いと思います。
早期退職制度より、柔軟にリストラが実施できそうです。

【2009/01/27 04:35】 URL | 元町愛 #195Lvy4Y [ 編集]


派遣社員として働いています。

中にはスキルの高い正社員の方もいますが、概ね正社員は使えないと言うのが派遣仲間内では定説です。
特殊な技能を必要としない一般事務であっても、です。

masaさんがおっしゃるように正社員の非正規化が進めばおもしろいですね。
生き残る自信はあります。
【2009/01/28 19:28】 URL | ゆん #mQop/nM. [ 編集]

管理人より記事の補足+読者の方へのコメント
私の書いた記事補足コメントの中で、「本当に実力があって正社員というポジションにいる人というのは果たしてどのくらいいるのだろう?」ということについて書きましたが、PALCOMさんがこの点について記事を書いておられるようなので、リンク先を紹介しておきます。


正社員の地位は既得権益なのか? その1
http://palcomhk.blog79.fc2.com/blog-entry-761.html

正社員の地位は既得権益なのか? その2
http://palcomhk.blog79.fc2.com/blog-entry-762.html

正社員の地位は既得権益なのか? その3
http://palcomhk.blog79.fc2.com/blog-entry-764.html

-------------------


さて、ここで再び記事の補足というか、ニュースサイトからの引用をしておきます。今年1月14日のJ-CASTニュースの記事です。非常に長文なのですが、あえて全文を引用します。



J-CASTニュース : 「正社員の雇用保護は減らすべき」 「封印」されたOECD報告書
http://www.j-cast.com/2009/01/14033591.html

-------------引用開始-------------------------------
経済状況の悪化で「派遣切り」が問題化し、正社員のあり方が問われるなか、経済協力開発機構(OECD)の報告書で、非正規労働者と正規労働者に大きな格差がある日本の労働市場の「二重性」を問題視していることが分かった。さらに、待遇の差を縮小させるため「正規労働者の雇用保護を減少させるべきだ」とまで提言しているのだ。ところが、この報告書が提出された時期には、報告書について報じた記事は少なく、一般読者からすれば、ほぼ「封印」状態だった。

OECD加盟28か国のうち、10番目に「強く保護」

OECDは2008年春、日本経済の動向についてまとめた「対日経済審査報告書」を公表した。同報告書では、規制緩和や女性の就業促進を急ぐように勧告。6章あるうちの1章を、「加速する二重化と高齢化に対応するための労働市場の改革」と題し、日本の労働市場について割いている。

 日本の労働力のうち、1985年には83.6%だった正規労働者の割合が、07年には66.3%にまで減少する一方、16.4%だった非正規労働者の割合は、07年には33.7%にまで増加。実に3人に1人以上が非正規労働者という計算だ。

 このような現状に対して、「企業が非正規労働者を雇う、最も重要な理由は『労働コストを減らせるから』」という調査結果を紹介。

 その背景として、

「日本はOECD加盟28か国のうち、10番目に、正規労働者に対する雇用保護が強い」と指摘している。つまり、「正規労働者が強く保護されている分、コストカットがしやすい非正規労働者が増えてきている」
という分析だ。

 報告書でも、時間(パートタイム)労働者の1時間あたりの賃金は、フルタイム労働者の4割に過ぎないし、非正規労働者を雇うことで、企業はボーナスや退職金の支払いを減らすことができる、などとしている。


正規労働者と非正規労働者との格差是正を求める


 このような現状に対して、「勧告」されている内容が、国内で議論されている内容とは一線を画したものなのだ。報告書では、「加速する『労働市場の二重化』傾向を反転させる」という見出しが付いた上、(1)雇用の柔軟性を高める目的で(企業が)非正規労働者を雇う動機を少なくするため、正規労働者に対する雇用保護を減らす(2)非正規労働者のコスト面での利点を減らすために、非正規労働者に対する社会保障の適用範囲を広げる(3)人材育成や、非正規労働者の雇用可能性を高める、ことなどを勧告している。

 さらに、OECDは、08年12月にも、日本の若年労働者(15~24歳)についての報告書を公表しており、その中でも

「日本の若者は、日本の労働市場で加速する二重化の影響を大きく受けている」
「期間労働から定職に移行するのは困難で、多くの若者が、不安定な職に『はまり込んだ』状態になっている」
と指摘。そして、この現状に対して3項目が勧告されているが、そこにはこうある。

「正規労働者と非正規労働者との保護率の差を減らし、賃金や福利厚生面での差別的措置に対応する。この措置には、期間労働者に対する社会保障の適用範囲を拡大する一方、正規労働者に対する雇用保護を緩和することも含む」
 いずれの報告書でも、正規労働者と非正規労働者との格差是正を求める内容となっているが、正規労働者側に犠牲を求めるという点が共通している。日本の労働環境にとってはショッキングとも言える内容だが、日本国内の報道と見てみても、報告書について触れた記事は多くない。正社員保護についての論点に触れているのは、せいぜい日経新聞くらいだ。日経新聞のバックナンバーを調べてみると、

「OEDD対日経済審査 女性の就業促進勧告へ」(08年1月22日)
という記事で、報告書を作成するにあたっての途中経過を報じている。このほか、報告書が発表された時には、

「日本の正社員 過保護? OECDが労働市場分析 『非正社員、処遇改善遅れ』」(08年3月5日)
という記事が掲載されている程度だ。

 引き続き雇用情勢の悪化が避けられないとみられるなか、格差問題をどう扱うのかに注目が集まりそうだ。
-------------引用終了-------------------------------


なかなか興味深い内容です。今日のところはあえてコメントは避けておきます。


さて、ここからは読者の方へのコメントです。


>>預金王さん

>もうすでになってきている(裏では着々と進んでいる)
>でしょうね

そうかもしれませんね。特に財務的体力に乏しい中小・零細企業では正社員を抱えるのは難しいでしょうから。




>>うさみみさん

>非常によくまとまっていて感動してしまいました。

ありがとうございます。
この問題については、膨大な分量の文献を読んできたものの、いまだに全体像がつかめないのが現状です。実に様々な要因が複雑に絡み合っていて、読めば読むほどなおさらわからなくなってくるのです。

>「どう対処していくかってこと」が現実的ですね

実際のところ、個人レベルでできることはあまりにも少ないというのが現状なのですが、そのわずかにできることを考えていきたいと思います。



>>まるまるまるたさん

本当に難しい問題だと思います。
根本的な解決方法が存在するのか、なかなか見えてきません。
他国における事例なども読んでいて、それは非常に参考になるのですが、果たして日本でできるのだろうか?という疑問も湧いてきますし。



>>元町愛さん

>慣習である年功序列を途中でリセットできることだと感じます。

確かにその通りです。これが実際に可能になれば、従来の日本の雇用環境は全く様変わりすることでしょう。ほとんどの経営者はこれを望んでいると思います。


>会社に対する貢献度といっても、なかなか査定には表現しにくいのではないでしょうか?

確かにそうでしょうね。

それで思い出しましたが、成果主義を導入して失敗した代表的ケースがありましたね。非常に有名な事例ばかりですが、念のため紹介しておきます。
例によって、Wikipediaからの引用です。


成果主義(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%88%90%E6%9E%9C%E4%B8%BB%E7%BE%A9#.E6.88.90.E6.9E.9C.E4.B8.BB.E7.BE.A9.E3.81.A7.E5.95.8F.E9.A1.8C.E3.81.8C.E7.99.BA.E7.94.9F.E3.81.97.E3.81.9F.E5.AE.9F.E4.BE.8B

-------------引用開始-------------------------------

成果主義で問題が発生した実例

三井物産

大手企業の中では成果主義導入により最も大きな不祥事を招いた企業といえる。
1999年に導入した当制度により入社4年目以降の社員の基本給は横一線となり、売上高やその前年比、新事業件数など数値化できる評価によって賞与に差をつけた。この結果、「知識や人脈を同期や後輩に教えることは損」という風潮が高まり、社員間の情報伝達や人材育成の障害となり、目標達成のために違法行為も辞さないというモラルハザードにまで発展した。
その弊害が最も顕著に現れたのが、2002年の国後島ディーゼル発電施設不正入札・談合事件、および2004年に発覚したディーゼル自動車排ガス浄化装置データ捏造事件の二つであり、本社捜索まで行われ、逮捕者まで出すこととなった。


富士通

富士通は1993年、成果主義に基づく評価制度を他の大企業に先駆けて導入した。当時の富士通は大手ながら先取の気風に富む企業として知られており、富士通らしい行動として期待と注目を集めた。
だが、実際に導入してみると、対象にされた社員が総じて評価の低下を恐れて慎重になり、かつての親指シフトやFM-TOWNSの様な、独創的な新機軸を意欲的に盛り込んだ「富士通らしい製品」が全く出てこなくなった。
このため富士通の業績は90年代に著しく悪化した。しかし、当時の社長秋草直之は度重なる業績の下方修正に対し「社員が仕事しないから悪い」とまで言い、トップとしての責任をとろうとしなかったため各方面から非難が集中した。


ナムコ

クリエイティブな業界における、成果主義が弊害を起こした典型例として知られる。
開発部門のスタッフにも比較的単純な成果主義を導入し、開発に携わったソフトの販売実績をボーナスに直結させたため、売上成果の多い人気タイトル制作に関わったスタッフはボーナスがプラスされる一方で、売上成果の少ない作品制作に関わったスタッフはボーナスがカットされる事になった。このため結果として、スタッフのほぼ全員が確実に売り上げが見込める人気タイトルの次回作制作部署への配属を希望し、仕事の奪い合いになり、オリジナルの新規タイトルがほとんど制作されなくなった。
また、手間がかかる割に評価に繋がらないソフトチェックやデバッグが蔑ろにされてしまい、『ソウルキャリバーIII』では致命的なバグの存在を見落としたままソフトを発売してしまうという不手際を発生させた。

-------------引用終了-------------------------------


上記のうち、富士通の事例については本で読んだことがありますが、本当にひどかったようです。
人を評価することの難しさを示す一つの例なのでしょうねぇ・・・。



>>ゆんさん


>中にはスキルの高い正社員の方もいますが、
>概ね正社員は使えないと言うのが派遣仲間内では定説です。

私は正社員の立場ではありますが、この点、同意します。
私のみてきた範囲でも、レベルの差が著しいのは確かです。極めて優秀な人もいる一方で、ろくに仕事のできない人も多数いるという状況。それでもなお、正社員という理由により、簡単にはクビにできないわけですから、なんとも不平等な話ではありますね。

【2009/01/31 21:04】 URL | masa #.7tOqmoU [ 編集]

管理人より再び補足
肝心なことを書き忘れていたので、再び記事の補足をしておきます。

上記記事補足においてOECDの報告書に関するニュースを引用しましたが、その意図するところは、ただ単に正社員の既得権益をなくすべき、ということではありません。

そもそも、労働者の持っている様々な権利は、先人たちの偉業によるものであり、本来は既得権益などと呼ぶべきものではありません。しかしながら、非正規雇用問題・ワーキングプア問題を考える上では、既得権益という言葉を使う方がわかりやすいと考え、そうした言葉をあえて使ったわけです。

実際問題として、ただ単に正社員の権利を減らしていけば、恐らく事態はより一層悪化すると思われます。要するに、企業側は、心おきなく非正規雇用労働者・ワーキングプア労働者を”今まで以上に合法的に”増加させることができるようになるからです。
だからといって、正社員の既得権益をそのまま残しておくと、企業は正社員を抱えることによるリスクを回避するために、やはり非正規雇用を増やし続けることになるでしょう。・・・というよりも、これこそが今の世の中で起きている出来事と言えるわけですが。


要するに、進むも地獄・退くも地獄という状態にあるということです。


この問題は極めて複雑な問題であり、正社員の既得権益問題もまた、数ある要因の一つでしかない、ということです。単純化して考えるべきではない、というのが私の考えです。
この問題を考える上では、労働者を保護する法律・制度のなかった時代における労働者の待遇がどんなものであったか、また、そもそも派遣労働というものがなぜかつては認められていなかったのか、などといったことも考える必要があります。

目指すべき道は、企業側・労働者側がWin-Winの関係になることで、そしてそれで解決できない部分は、政府の役割ということになると思うのですが、いずれにしても非常に難しい問題ではあります。



それからこのシリーズ記事の次回はまだ先の話にはなりますが、過去3回とはまた違った視点から非正規雇用問題・ワーキングプア問題をみていこうと思っています(あくまでも予定ですが)。

【2009/02/01 14:31】 URL | masa #.7tOqmoU [ 編集]


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ほんとに他人事ではないワーキングプア

いつも巡回させて貰っているmasaさんのブログ『貯金生活。投資生活。』から大変興味深いエントリがアップされています。 [http://moneyfreedom.blog21.fc2.com/blog-entry-362.html ワーキングプアは決して他人事ではない] [http://moneyfreedom.blog21.fc2.com/blog-... 怠け者の資産運用【2009/01/24 20:41】

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