今回は、「1億円でのFIREについての雑感」というテーマで書いてみます。 FIREという言葉には、「経済的自立」と「早期リタイア」という2つの意味がありますが、今回は早期リタイアという部分に主眼をおいています。 1億円でFIRE(早期リタイア)が可能かどうかということについては、最初に結論を書いておくと、
FIREすることは可能。しかし、1億円という金額では、人生におけるリスクを考慮すると少々少なすぎるのではないだろうか?
ということになります。 私も、かつて1億円を実際に持つまでは、「1億円もあれば余裕で早期リタイアできるだろう」と思っていました。しかし、実際に1億円というお金を手にしてみると、1億円ジャストの金額だと少々頼りないのではないか?と考えるようになりました。そう考えた理由を2つばかり書いてみます。
(1)1億円すべての金額を投資できるわけではない
これは考えてみると当たり前の話ですが、1億円を持っているからといって、その全額を投資に回すことはできません。かつての私の頭の中の想像(むしろ妄想と呼ぶべきか)では、1億円を年利4%で運用できれば年間に税引き前で400万円、約20%の税金(※正確には2023年10月現在で20.315%ですが)を引いたとして年間で約320万円、一ヶ月あたり約26万円使えると考えていました。 しかしながら、実際には1億円のうち、いくらかは株価の暴落時に備えるため生活防衛資金として(あるいは現金クッションと呼ぶべきでしょうか)お金を預貯金形で残しておく必要があります。働いているのなら生活防衛資金は生活費の2年分程度で良いかもしれませんが、早期リタイアとなると株価の大暴落&数年にわたって株式市場が低迷するケースを想定すると、生活費の5年分程度は必要になるかと思います。これは人によって感覚がことなるでしょうけれど、私ならリスクを考慮し、2000万円程度は預貯金の形で残しておきたいところです。
そうすると、実際に運用できるのは8000万円程度。8000万円を首尾良く年利4%できたとして税引き前で320万円。約20%の税金を引かれたとして256万円。一ヶ月あたりで約21万円。ずいぶん減ってしまいました。 月に21万円もあれば十分だという意見もあるかと思いますが、これはあくまでも年利4%で毎年運用できればの話です。私の過去の経験上、毎年安定しての年利4%運用など、実際には夢物語だと思っています。大きく上がる年もあれば大きく下がる年もあるからです。まあ、そんなことは当たり前のことではあり、そのための生活防衛資金(あるいは現金クッション)があるわけですが、これにしても実際のところ2000万円で必ず事足りるという保証もありません。 というわけで次の項目へ続きます。
(2)人生における不測の事態・長期にわたる暴落に対する備えとしては1億円ではいささか心もとない
1億円を年利4%で運用する話にしても、2000万円の生活防衛資金(現金クッション)にしても、すべては仮定の話に基づいています。サラリーマンを辞めての早期リタイアというのは一度踏み出してしまうと、後戻りするのはなかなか困難と思われます(有利な条件での再就職は難しいであろうという意味です)。もしかしたら、株式市場が大暴落して、しかもその暴落が事前の想定以上に長期化するかもしれませんし、その後の人生においてなんらかの不測の事態が起きて大金が必要になるということもあり得なくはありません。そう考えると1億円という金額での早期リタイアが怪しく思えてくるのです。
一方で「そんなことを考えても仕方がないではないか」という思いもあります。しかし、私は投資家です。投資家というのは常にリスク(不確実性)を考えて行動するのが習性です。過去20年に及ぶ投資生活のなかで、リスク(不確実性)を常に考え、最悪の事態を想定して投資判断を行ってきたわけです。そうであるならば、「実際に起きるかどうか分からない心配事を抱えても仕方がない」という結論にはどうしても行き着かないのです。これは私の性格による部分が大きいのですが、逆にリスクを常に考えてきたからこそ、いままで投資家として生き残ってきたわけで、不測の事態を想像しないということはあり得ないのです。
以上の理由により、1億円では早期リタイアは、理論上は可能だが、心情的にはいささか心もとないがゆえに難しいというのが私の出した結論になります。 では、一体いくらあれば安心して早期リタイアできるのか?と言われれば、なかなか答えを出しずらいところえはあるのですが・・・。
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